自分で学費を稼ぎ日本で指折りの授業料が安いと言われる大学に通い、アルバイト三昧で留学費用を貯め、就職を蹴って夢を追い上京。20代、とにかく突っ走ってきた私にとって、「お金がない!」の危機は常に隣り合わせ。その中でも最もマズいと感じた経験。まさに、お金の工面にまつわる印象的なエピソードを書きます。時は4年前。20代の頃、上京して3年が経ち家族には「それなりに何とかなってる」と伝えはじめた頃。趣味だったダンスを職業にし少ない収入で細々と生きていた私に訪れた最も大きなチャンスは、あこがれのダンサー監修の舞台に出るという仕事でした。芸能の道の怖いところ。それは、実際に働いてからギャランティが入るまでにかなりタイムラグがあるということ。そんなことに気付かない位舞い上がり、そしてやっぱり舞台公演中に貯金がそこを尽きる私。本当にその日暮らしのようなものだったので、2週間ともたなかったんです。しかしながら私にもプライドがあります。自分より経験値が上の人とのお仕事。もちろん周りには蓄えもある。そんな中、「お金がない」なんてやっぱり言えなくて、頼ったさきは何と、2つ年下の妹でした。妹は私と違い、「食いっぱぐれがないよ」という母の言いつけ通り看護師に。地元の病院で夜勤もこなし、やはりそれなりの収入・・・いやそれなりどころか、私の2倍は軽く稼いでいました。姉として、妹より収入が少ないというのもやっぱり恥ずかしく、それまではやせ我慢したりちょっぴり大げさに話したり、収入について嘘をついてみたり。しかしこれが大きな仇となって返ってくるんですよね。嘘をついていた分頼りにくくなる。しかし!明日食べるご飯もない!こんな状況で楽しく働くなんて無理だ!たかをくくった私は、妹に電話。正直に話すのも憚られたため、「生徒達の衣装を全部たてかえなきゃいけなくて。9万円足りないので貸してくれない?」と伝えました。極めつけは、「恥ずかしいからお母さんには言わないで。」と。ここはできた妹。その電話の15分後には振込があり、返金はいつでも良いよ~、とのんきなもの。しかし後から聞いたら「お姉ちゃんが私に頼るとかよほどお金がなかったんだろうと感づいてた。こっちも焦ったよ!」と。あのときの9万円は既に返しましたが、9万円以上の価値のある安心感だった。せめて、絶対的な信頼を寄せている身内にくらいは、本当に困った時にお金を貸してあげられるくらいの余裕を持とうと決心したエピソードでした。
26歳 嘘をついて妹にお金を借りる。
