私が大学生の頃から大切にしているジンクスがあります。それは、「図書館の近くにはおいしいパン屋さんかケーキ屋さんがある」ということ。高校を卒業してひとり暮らしを始め、都内の大学に進学した私。友達もまだおらず、頼れる親戚もいない状態で、学校で授業がある時間以外はすることがありませんでした。単位を早く取り終わるために、講義の数も詰めていましたし、まずは新しい生活になれるためという気持ちもあり、アルバイトはせず。自由な時間がかなりありました。とは言え暇な時間が多く、それでも家でだらだらするのがもったいなく思う性格。在学中4年間は住む土地だからと、暇さえあれば散歩をしていました。自宅と駅を基点に、毎日いろんな方向へただただ歩き、頃合いで引き返す。商店街も住宅地も、幹線道路沿いもあちこち歩きました。そしてある日、大きな図書館を見つけ、たまたま入ってみました。もともと本は大好きでしたが、買うばかりで図書館は利用していませんでした。実際使ってみると、図書館というのはとっても便利。魅力に憑りつかれ、それからは図書館へ通う日々が始まりました。図書館に「貸出ポイント」や「ログインボーナス」があれば、相当溜まっていたと思います。館内でお気に入りの席をいくつか見つけ、そこでのんびり雑誌や写真集を眺める。重たい文学全集をぱらぱらめくり、興味のある小説だけ選んで読む。本を選ぶふりをしながら、来館してくる他の利用者さんをこっそり観察することもありました。そろそろ帰るかという頃に貸出本を選び、家に持ち帰ってのんびり読んで、次の日また返しに行って帰りに選んで・・・。大学1年生の1年間はそうやって過ぎていきました。その図書館の近くに、小さくてかわいいケーキ屋さんと、パン屋さんか2件あり、たまに買って帰っていたのですが、どこもとてもおいしい。住宅地価格なのでお手頃でしたが、リピート買いしたくなるおいしさで、良く行きました。その後何回か引っ越しをし、そのたびにいちばん近い図書館を見つけて行ってみるのですが、いまのところ図書館の近くにはパン屋さんかケーキ屋さんが必ずあります。そして、どのお店もとてもおいしいのです。奇をてらったり気取ったところはなく、しっかりきちんとおいしい、何度行っても飽きないお店。現状私の場合、6つの土地で確信しているジンクスですが、法則性は謎のままです。
29歳女性、図書館近くの良いお店
