30歳女性独身です。私が小学校低学年の時、姉から教わったジンクスを一心に信じてハマっていました。それは赤い郵便車を街で見かけたら、願い事を思い浮かべるというものです。願い事を手紙に擬えて念じると、その思いが神様に届くというのです。このジンクスを教わったのは私が同級生の男子に恋をしていた時でした。私は引っ込み思案な性格なので意中の彼に想いを伝えるどころか、彼を前にすると上手に話せない不器用な子供でした。そんな照れ屋な性格を熟知している姉が気をきかせてくれたのでしょう、私がふと恋心を姉に打ち明けた際にこのジンクスを教えてくれました。当時の私はなんとか想いを伝えたい衝動と弱気な自分に葛藤して悩んでいました。何せ小学生ですから大人のような恋愛というより、淡い初恋のようなものでしたが当時の自分にとって素直な恋心を相手に伝えること、また恋心を抱く自分を照れずに受け入れる寛容さが未熟だったのです。もし同級生の女子に恋を知られればからかわれるでしょうし、一人で抱え込むほか無かったのです。しかし幼少期から姉は私のちょっとした言動から心情を察してくれ、いつも心の支えとなってくれました。そんな頼りがいのある姉を誇らしく思っていましたし、何か悩み事があれば姉に相談すればアドバイスを貰えると信頼していました。ですから不意に口から出た恋の悩みも、姉の前だったから話すことが出来たのだと思いますので、思い返せば何分自然なことだったのかもしれません。このジンクスを教わった後、私は登下校の時はもちろん出先で常に赤い郵便車を探すようになりました。しかし意外に見つからないもので、殆ど見つけた記憶はありません。唯一家族で買い物に出掛けた際、姉が「あ、郵便車だよ!」と咄嗟に指差して一瞬だけ郵便車を見かけたことがありますが、走り去った赤い残像といった印象ではっきりと目視することは出来ませんでした。それでも私は藁にも縋る気持ちで恋が叶うことを願いました。結局その男子に告白することが出来ないまま小学校を卒業し、その後彼との関わりは途絶えてしまいました。ジンクスを信じてひたすら赤い郵便車を探し回り、一瞬見かけた残像にも必死に願いましたが恋が叶うどころか彼との距離が縮まることはありませんでした。今思えば純粋に告白すれば良かったと後悔しています。単純に私は臆病で勇気がなかっただけであり、失恋という結末になろうとも結果ではなく告白するという行動力が大切なのだと気付き得なかったのです。とは言え小学生ですからそこまで達観できるほどの余裕はありませんでしたから、子供らしくジンクスを信じる純粋さを持ち合わせていたのは可愛げがあって良かったと思います。また姉から教わったジンクスを疑わずに信じ続けたことも疑心暗鬼な子供ではなかったという意味で良かったと思います。ジンクスを信じる時、人は誰しも運勢や願い事を掛けて真剣になっていると思います。ちょっとしたラッキーを引き寄せるジンクスも、ジンクスを信じる純粋な心が自然と周囲を平和にさせているのだと思いますし、だからこそジンクスを信じ続ける人々にラッキーが回ってくるのだと思います。今ジンクスを信じている方々には、ジンクスを真剣かつ純粋に信じる心持ちが最も大切だとお伝えしたいです。
30歳女 小学生の頃 赤い郵便車を見つけては願い事をする
